うたかたのような

ジャニーズのはなし

太陽のかわりに音楽を。

 

 

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『太陽のかわりに音楽を。』

銀座博品館劇場

2017.12.7~2017.12.17(全15公演)

 

出演

別所哲也宮近海斗(Travis Japan/ジャニーズJr.)、高田翔(ジャニーズJr.)、小松利昌、西原亜希、成清正紀、川上友里、蒼乃菜月

 

2017年・冬。「オールナイトニッポンZERO」のパーソナリティを務めるミュージシャン・トロイはラジオが好きではなかった。リスナーからの反響はなくスタッフもやる気がない。ラジオのない世界に行きたいとトロイが呟いた時、彼の乗ったエレベーターは、他の時代にタイムスリップする。

そこは50年前、伝説のアナウンサーがパーソナリティを務める「オールナイトニッポン」の現場だった。誕生したばかりでまだどうなるか誰にも分からない「オールナイトニッポン」番組制作のスタジオ。

戦争を知る伝説のアナウンサー、適当すぎるディレクター、そしてラジオに夢を持つADたちとの番組現場でのふれあいの中で、トロイは「ラジオの力」を見つけ出していく。

 

 いつもはある程度推敲をして記事を投稿するんですが、ものすごく長文になってしまって、きちんと推敲しきれていないので、だいぶ読みづらいです\(^o^)/あとものすごく長いです\(^o^)/いままでの記事の中で一番長いので、読む方がいましたらお気を付けください\(^o^)/

 

 

 

『太陽のかわりに音楽を。』すごくよかった。ほんとにほんとにだいすきな舞台になった。

最初は「12月は現場の予定もないし、気分転換に行こうかな」くらいの気持ちだったのに、終演後には「これはまた見たいやつだ」「どうしよう、もう一回入りたい」となっていた。何度でも見たくて仕方がなくてチケットを探して、仕事の都合をつけて。最初は一度だけの観劇予定が、気づいたら複数公演入っていました。

わたしは観劇するたびに泣いてしまっていたのだけれど。このシーンが泣けるとかではなくて、見ていると胸がぎゅうっと苦しくなって切なくて。だけどとてもあったかくて優しくて。思わずクスッと笑ってしまうような場面もたくさんあって。笑って泣いてほんとに素敵な舞台だった。今年一番すきな舞台だった。

 

まず素敵だなあと思ったのは、開演前に客席に流れていた音楽が出演者の思い出の曲だったこと。それからステージのセットがレコードをたくさん積み上げて出来ていたこと。山のように積み重なるレコードを見て、オールナイトニッポン50年分の歴史や思い出がたくさんステージの上に置いてあるようでとても素敵だった。客席に入った瞬間から物語の中にとぷんと入っていくような気持ちになれて、席に座って開演するのを待っている時間も含めてとても愛しく思えた。

出演者の方が撮影した舞台の写真なのだけれど、こうして改めて見てもやっぱり素敵だなあと思う。

 

 

 

 

客席の照明が落ちて真っ暗闇の中、物語は「みなさんはラジオを聞いたことがありますか?」という、別所哲也さん演じる糸居志郎さんの優しい語りから始まって。Twitterでどなたかが「ラジオを聴いているみたいな始まり方」だと言っていたのを見かけたけれど、その通りだと思った。暗闇の中、入ってくる情報は糸居さんが優しく語りかけてくる声だけで。客席にいるわたしたちもリスナーの一人のようだった。

「テレビのような映像もなければ、インターネットのようなインターラクティブさもない。ラジオで伝えられる情報はごく僅かだ」

「ラジオは、想像のメディアなんです」と糸居さんが話していると徐々に照明が明るくなっていって、宮近海斗くん演じるトロイ(木本宕馬)がラジオパーソナリティーを務める『オールナイトニッポンZERO』の放送場面に。このときのトロイくんの喋り方がほんとーーーーーにやる気がなくて(笑)、わたしがファンだったら「ねぇトロイ!!ラジオだって仕事だよ!?」ってTwitterで文句言ってた\(^O^)/

このトロイくん、何度も言うけれどまあほんとにやる気がなくて。「俺のファンはラジオなんか聞かないし」「ラジオなんか聞いたことなかったし」「ラジオなんてオワコンだろ。終わったコンテンツ」「もう辞めたい」「辞めたくても辞められない。そしたら今度はネットで叩かれる」「トロイコミュ障」「トロイおわた」と、トロイの口から出るのは文句ばかり。

トロイが「ラジオを聞いたことがない」と言ったとき、たしかにラジオに触れる機会ってあまりなかったなあと思って。アラサーのわたしがそう感じるんだから、きっと二十歳そこそこのトロイはラジオなんか聞いたことがないんだろうなあって。わたしはオタクだったから声優さんのラジオやジャニーズのラジオに触れる機会がそれなりにあったけれど、馴染みのないコンテンツなのだなあと。それこそいまはインターネットで気軽に聞けてしまうラジオだけれど、周波数を合わせて、アンテナの向きを変えて、電波の入りやすい場所にラジオを抱えて移動して…なんて想像もつかない人もいるんじゃないかなあ。そういう不便さも含めて、ラジオって愛しいなあっていまだったら思うな。

あと、きっといい意味でも悪い意味でもトロイは最近の若い子なのだろうなあと思った。流されるまま仕事して。興味のないことでも言われたからやって、知ろうともしなくて。「始めたんだから、ラジオのことを知って欲しい。すきになって欲しい」というようなことを、川上友里さん演じる東内ディレクターが言うのだけれど、わたしも少しハッとした。すきになるかは別としても、知る努力はしなきゃだめだなあって考えたりして。すきとかきらいとかは、「それ」を知った一歩先の感情じゃなきゃだめなんだなあって。

 

2017年のオールナイトニッポンZEROが終わったあとのスタジオでトロイが「ラジオなんてなくなればいいのに」と呟いてエレベーターに乗って帰るのだけれど、そのあと忘れ物をして戻ってきたトロイは1967年のオールナイトニッポンのスタジオへタイムスリップしていて。

生まれたばかりのオールナイトニッポンの収録スタジオ。糸居さんを始めとして、小松利昌さん演じる倉本ディレクターや、高田翔くん演じる東大生でバイトのAD三雲くん、西原亜希さん演じる局アナの青葉さん、成清正紀さん演じる羽佐間編成部長と出会っていって。そんな人々と触れていくうちに、たまに数年後のオールナイトニッポンのスタジオにタイムスリップしていくうちに、ラジオのことをすきになっていくトロイのおはなし。

 

ある日リスナーから「アリガトウ。サヨナラ。」とだけ書かれたはがきが届いたことから話は動き出して。

そのはがきをたまたま見つけたトロイが、はがきのことが気になって糸居さんへ伝えたことから、糸居さんがラジオで呼びかけて。はがきの送り主のA子さんは、ダンサーになるという夢を怪我のせいで諦めなければならなくなった二十歳の女の子で。そんなA子さんと、数週間に渡ってはがきとラジオとのやりとりが繰り広げられるのだけれど。

 

A子さんとやり取りをしていくなかで、オールナイトニッポンの放送が終わったあと、トロイと糸居さんが二人きりになる場面があって。

舞台序盤で「糸居さんがラジオで伝えたいことってなんですか?」というトロイの問いかけに対して、糸居さんが「それはラジオを聞いて感じてください」と答えていたんだけれど。このシーンでもう一度トロイの問いかけに「僕は自由の素晴らしさを伝えたい」と答える糸居さんの姿があって。

糸居さんが戦前は満州でラジオをしていたという話から「戦争中は好きな曲もかけられないし、言いたいことも言えない。自由なんてなかった」「生きたくても生きられない人がいた」という話のあとに、トロイが「自由の素晴らしさがわからない」「だっていままでずっと自由に生きてきたから」と言うのだけれど。そんなトロイに糸居さんが「いまのこの時代に自由の素晴らしさを声高に言うなんて野暮なことはしません」「自由は空気みたいにそこにあればいい」と言っていたのがとてもすきだった。

 

そのあとに糸居さんが「どうして他の若いパーソナリティではなく、僕なんだろう」と独り言のような、トロイに問いかけるような心情をぽろりと漏らすのだけれど。それに対してトロイが「糸居志郎だからですよ。糸居志郎が好きだからですよ!」と言うの。そのあと嬉しそうに照れ笑いする糸居さんを見て、誰よりも大人で誰よりも余裕のある糸居さんでも不安になるんだなあとか嬉しそうな顔をするんだなあとか思ったら、胸がすごくぎゅうってなった。

 

最後のはがきにA子さんが「生きていても意味がない」というような文章を書いて送ってくるのだけれど。そこにいるスタッフやリスナー誰もがこの子は自分でいのちを絶ってしまうのではないかって感じていて。それでも糸居さんの「このはがきを読みます」という言葉を、糸居志郎を、ラジオを、その場にいる人たちは信じていて。A子さんからのはがきを読むんだけれど。

ラジオの途中でその放送を聞いたニッポン放送の偉い人から「放送を中止しろ」という連絡が入ってくるんだけれど、羽佐間編成部長の「責任は私がとります!」というところや、普段はスチャラカ社員で「早くオールナイトニッポンなんか終わればいいのによ~」と言っていた倉本ディレクターも「番組を終わらせたくない」「このラジオは俺の番組でもあるんだ!」というラジオに対する熱い想いと、糸居さんやラジオの力を信じている想いがすごくすごく伝わってきて。

 

このときにラジオを聞いているであろうA子さんと、たくさんのリスナーに向けて糸居さんが「君たちは夜が明けるたびに新しい自分に生まれ変わるんだ。それが若さってこと」「失敗と絶望ってなかよしだよねぇ」と語りかけるシーンがだいすきで。所々で若い子たちが自分の思いを聞かれたときに「うまく言えないんだけど」と言いながら拙い言葉で自分の思いを話すんだけれど。そんなとき糸居さんはいつだって、答えを教えるわけではなくて「君はどうしたい?」って必ず聞いてくれて。糸居さんの言葉はいつだって優しくて。そんな糸居さんのラジオだからA子さんははがきを書いたんだろうなあってすごく思った。

 

ラジオの放送中に居ても立っても居られなくなったトロイがA子さんを探すために、A子さんがすきだと言っていた東京タワーへ向かうのだけれど。ラジオを題材とした舞台で、東京タワーという当時の日本最大の電波塔が出てくる演出もすごくすきだった。

東京タワーへ向かうトロイと青葉さん。そんなこんなで東京タワーにいるA子さんを見つけるのだけれど。トロイがA子さんを説得していく中で、自分は夢を叶えたけれど思い通りにならないことや、ラジオが嫌いだったトロイがラジオをすきになった話を糸居さんがラジオでしたりして。トロイがリスナーからA子さんに宛てたたくさんのはがきを読んだりして。

 

糸居さんが「窓の外を見てごらん」とラジオで優しく語りかけるのだけれど、そのときに糸居さんのマイクを起点として明かりが点々と灯し出されて、ひとつの線で繋がって。まるで明かりが灯った窓を見ているようで。

 

そんななかでトロイがA子さんに「踊るの嫌いになった?」と問いかけるのだけれど、その声がほんとに優しくて。見ているこっちもじんわり涙が出るくらい優しくて。そんなトロイの問いかけにA子さんは大きく首を横に振って。トロイに踊るように促されて戸惑いながら踊り始めるのだけれど、トロイもA子さんと一緒に踊り始めて。その2人の姿がどうしようもなくきれいで儚くて切なくて。すごくすごくすきなシーンだった。

 

A子さんが最悪の結末を回避して、オールナイトニッポンのスタッフ、リスナーが安堵してラジオ放送の場面が終わって。

 

最後にひとり残ったトロイが「一本のマイクから始まって言葉で紡いで音楽で紡いで。ラジオって、オールナイトってすごい!俺はこの日のことをきっと一生忘れないだろう!」と言って場面は2017年、トロイの『オールナイトニッポンZERO』のスタジオへ戻るのだけれど。冒頭とは打って変わって、ラジオ放送をするトロイの表情が、声が生き生きして楽しそうで。最後に1967年のオールナイトニッポンのスタジオで糸居さん、倉本さん、三雲くん、トロイで撮った写真の話題になって。東内ディレクターが写真のトロイを見て「この子すごくトロイくんに似てるね」って言うの。まあ本人だからそりゃそうだって感じなのだけれど(笑)、それを聞いたトロイが「この人はラジオがだいすきなスタッフですよ」と言ってお話は終わり。

 

 

 

 

『君が踊り ぼくが歌うとき 新しい時代の夜が生まれる。太陽の代わりに音楽を。青空の代わりに夢を。フレッシュな 夜明けをリードする、オールナイトニッポン!』

このフレーズが何度聞いてもほんとにすてきでだいすきだった。このフレーズと、踊れなくなったA子さんと、ミュージシャンのトロイくんが重なるようなストーリーもだいすきだった。

 

小さい劇場だから、マイクなしで聞こえる声が心地よくて。ラジオでのシーンだけマイクを使って話しているのも、ほんとうにラジオを聴いているような気持ちになった。

 

トロイが「タイムスリップ」のことを「タイムリープ」ってずっと言っているのもなんだか現代っ子だなあと思ってすきだった。

 

オールナイトニッポンで『帰ってきたヨッパライ』を流すシーンがあるんだけど、その曲を聞いた瞬間にトロイがゆっくりと上を向いて「あーーー!!」と言うシーンがあって。きっと音楽が好きなトロイだから、『帰ってきたヨッパライ』が流行ったきっかけも知っていたんだろうなあ。劇中ではほとんど語られなかったけれど、きっとトロイはほんとに50年前に自分自身がいるっていう葛藤とか不安もあったのだろうなあ。

 

トロイくんもかわいくてだいすきだったけれど、三雲くんもすごくやさしくて穏やかでだいすきだった。あと三雲くんのあだ名が『ミックモロゾフプリン』だったのがほんとにかわいかったし、忘れた頃にトロイが「ミックモロゾフプリン…」ってぶち込んでくるのがほんとツボだった(笑)

トロイは1977年、オールナイトニッポンが始まって10年後の三雲くんにもタイムスリップをして出会うのだけれど。1977年にトロイと再会したあと「トロイくん。僕はきみのことを、とんでもないボンボンのうえに、とんでもない妄想癖のうえに、とんでもない失踪癖なんだと思っていたよ」と三雲くんが呟いていて。きっと三雲くんにとっても、もちろん三雲くんだけじゃなくて1967年にトロイと出会った人たちにとって、急に現れて急にいなくなるトロイは幻みたいな夢のような人だったのだろうなあ。1977年にトロイと再開した三雲くんは、2017年のトロイのラジオを心待ちにしていたのかなあ。物語の最後に2017年の三雲くんはトロイのラジオを聞いていることが明かされるのだけれど。この物語が終わったあと、年老いた三雲くんと、あの頃と変わらないままの姿のトロイが再会しているのかなあ、としあわせな未来を想像したくなるような終わり方だった。

 

あとは宮近くんの衣装のお膝のところがダメージ加工してあって、左右とも裂けていたのだけれど、2日目に観劇した時に「これ最終日にはハーフパンツになっているんじゃなかろうか」と頭が悪そうなこと考えながら見ていたのだけれど、最終的には膝のダメージ加工が大きく広がっちゃって、宮近くんのお膝がこんにちはしちゃっていたのがほんとかわいすぎた\(^O^)/

 

いつもスタンディングオベーションって「みんなやっているからやろうかな」とか「前の人が立っちゃって見えないからやろうかな」とか、なんとなくやっていることが多くて。だけどこの『太陽のかわりに音楽を。』は、終わってから早くスタンディングオベーションしたくて仕方なくて。すばらしかったよ!よかったよ!楽しかったよ!と伝えられるのは拍手だけだから、早く早くその気持ちを出演者に伝えたい!と思った舞台だった。

ほんとにほんとに心があったかくなって優しくてどこか切なくて、愛しくてたまらない舞台だった。

 

おわり!

 

 

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